2014年10月6日月曜日

ITmedia名作文庫:太宰治『女の決闘』連載中



女の決闘太宰治

太宰の身辺が平穏な時期に実験的な手法で執筆されたものが集められている作品集です。表題作は、森鴎外の翻訳を解体するメタフィクション「女の決闘」。聖書を元に、新婚ほやほやの夫人に一気に口述筆記させた「駈込み訴え」、シラーの詩篇を下敷きにした「走れメロス」、ふるさと人の会合で泥酔し棟方志功や秋田雨雀らを前に大失態をおかした体験を元にした「善蔵を思ふ」、その他「古典風」「誰も知らぬ」「春の盗賊」7編を収録。『女の決闘』(河出書房、1940年6月15日発行、日本近代文学館、1992年6月19日復刊)を底本に、巻頭に「ミニ解説」(北條一浩)を付けています。2010年の常用漢字改定に照らし合わせ現代仮名遣いへ改めるとともに、常用外漢字にはルビを振り読みやすくした縦書版電子書籍です(近日刊行予定)。



2014年10月3日金曜日

ITmedia名作文庫:太宰治『人間失格』が発売されました。

読んだイメージを装丁にしています。
作中の「いいな」と思う文章を絵にしたり、全体的な印象から絵を造ったりします。
今回の『人間失格』は、イメージの絵と文章からの絵の2つにしました。

ひとつめは、
酒、女、モルヒネ、夜、窓からこぼれる黄色いほのかな灯り、白い雪に日の丸のような赤い血、というイメージを絵にしたもの。

ふたつめは、
ここへ来たのは初夏の頃で、鉄の格子の窓から病院の庭の小さい池に紅い睡蓮の花が咲いているのが見えました。
というところを絵にしたもの。



印象に残った文章は、
弱虫は幸福をおそれるものです。
私たちの知っている葉ちゃんは ……… 神様みたいないい子でした。
ただ、一さいは過ぎて行きます。




人間失格

著者の分身でもある大庭葉蔵なる主人公が、恥の多かった27年間の生涯を語る一人称の小説です。東北の田舎の金持ちの家に生まれ、上京してから真面目に生きようとすればするほど世間的には廃人になってしまった、不器用で無垢な若い人を描きます。1948年「展望」に連載され、作者の自死の直後に発売されたことからも注目を集めました。本書は『人間失格』(筑摩書房、一九四八年七月二十五日発行、日本近代文学館、一九九二年六月一九日復刊)を底本に、巻頭に「ミニ解説」を付け、八雲書店発行「太宰治全集第一五巻」の豊島与志雄による解説も収録しています。2010年の常用漢字改定に照らし合わせ現代仮名遣いへ改めるとともに、常用外漢字にはルビを振り、読みやすくするなど、独自の校訂を行った縦書版電子書籍です。
  • 発売日
  • 価格100円

販売ストアなどはこちらを御覧下さい。
http://classics.itmedia.co.jp/dazaiosamu/ningenshikkaku/

2014年9月29日月曜日

ITmedia名作文庫:太宰治『皮膚と心』



皮膚と心太宰治

女性の独白体を使った表題作のほか、ユーモラスな短篇ばかりを集めています。「俗天使」、「葉桜と魔笛」、「美少女」、「畜犬談」、「兄たち」、「おしゃれ童子」、「八十八夜」、「ア、秋」、「女人訓戒」、「座興に非ず」、「デカダン抗議」、「皮膚と心」、「鷗」、「老ハイデルベルヒ」の14編を収録。『皮膚と心』(竹村書房、1940年4月20日発行、日本近代文学館、1992年6月19日復刊)を底本に、巻頭に「ミニ解説」(北條一浩)を付けています。2010年の常用漢字改定に照らし合わせ現代仮名遣いへ改めるとともに、常用外漢字にはルビを振り読みやすくした縦書版電子書籍です(近日刊行予定)。


ITmedia名作文庫から中村武羅夫『明治大正の文学者』発売されました

私が装丁を手がけた電子書籍、ITmedia名作文庫の中村武羅夫『明治大正の文学者』がKindleとiBooksで買えるようになりました。

Kindle

iBooks




2014年8月22日金曜日

ITmedia名作文庫から水守亀之助『わが文壇紀行』が発売されました








ITmedia名作文庫 中村武羅夫『明治大正の文学者』の装丁を担当しました。



「新潮」の大編集長、「講談社三尊」の一人、中村武羅夫著「明治大正の文学者」の掲載が開始しました。
8月21日より、中村武羅夫著『明治大正の文学者』(留女書房、1949)から主要な部分が掲載されます。
中村武羅夫(1886-1949)は、水守亀之助(『わが文壇紀行』)同様、忘れられた編集者/作家の一人です。
1928年に書かれたマルキシズム文学批判の評論「誰だ?花園を荒らす者は!」だけが知られていると言っても過言ではないでしょう。

中村は、訪問記者を振り出しに「新潮」編集長として大正文壇を盛り上げながら、通俗小説家としても活躍し講談社の三尊(陰の功労者)の一人として数えられるなど、戦前の文壇において極めて重要なポジションにいました。昭和10年代には日本文学報国会の常任理事として活躍しています。


今回掲載する原稿の初出は「新潮」(19421943)です。
以下、序文から引用します。

 日本の近代文学の歴史――わけてもその中軸的にもっとも深い意義を持つ明治末期に近い頃から大正年代を経て昭和十年代(太平洋戦争直前)の半ばの頃までのおよそ三十有余年間にわたる、長期間の文学の変遷推移には、実に複雑多様なものがあると言わねばならぬのだが、幸いに私はこの重要な期間を、自ら文学界の片隅に、文学の仕事に関与して生活することを得て来た。加うるにジャーナリストという職業は、常に文学思潮の動向の中枢に呼吸し、絶えず多くの文学者たちと、緊密な接触を保たなければならない。すなわち本書は、この期間における私が直接に触目し、面接した文学と文学者とについて語ったものである。  元より初めからある一貫した意図の下に筆を執ったものではあるが、さればと言って文学史と称するほど固くるしいものでもなく、そういう整然たる体系を備えたものではない。いわば人を中心として見たナマの文学史、もしくは真の文学史を書く人、あるいは研究する人のために、生きた資料の記録、私自身が直接経験した文学史の断片を提供したものとでもいうべきであろうか。人によっては無意味なもの、余計なもの、瓦礫として捨てて差し支えないものも多く混ざっているかも知れないが、しかし、自らその時代の文学の中に、直接生活しなければ得ることの出来ない――そして、それは過ぎゆく時と共に、あるいは、いつかは忘却と消失の彼方に、隠れ去ってしまうかも知れないところの貴重な珠玉も、若干ふくまれていないとは言えないだろう。それをいくらかでも本書の中から発見し、明治大正の文学を知る上に役立ててくれる人があれば、私の本懐とするところである。

大正時代、書痙になるほど訪問記事を執筆したという中村武羅夫。彼の書いた近代文学史は貴重な資料であると思われます。

以上:ITmedia名作文庫サイトより引用しました http://classics.itmedia.co.jp/

2014年8月18日月曜日

太宰治『斜陽』の連載が開始しました


太宰治著『斜陽』の連載を始めました。第二次世界大戦後の華族令廃止とともに没落した元華族の一家への哀悼と、女性のしたたかな生命力への期待を描いた太宰治の傑作です。
『斜陽』は、1947年、「新潮」7月号から10月号まで連載され、完結直後に書籍化されるとたちまちベストセラーになりました。戦後まもなく、生家の没落を目の当たりにした著者が、チェホフの「桜の園」と、愛人であった太田静子の日記を素材にして書き上げたものです。
第二次世界大戦後の華族令の廃止により、元華族の一家が没落していく姿を描いた太宰治の傑作です。1947年、文芸誌「新潮」に連載され、同年12月に刊行されるやベストセラーになりました。その作品名から派生した「斜陽族」は流行語になっています。本書は『斜陽』(新潮社、一九四七年一二月一五日発行、日本近代文学館、一九九二年六月一九日復刊)を底本に、巻頭に「ミニ解説」を付け、八雲書店発行「太宰治全集第一四巻」の豊島与志雄による解説も収録しています。2010年の常用漢字改定に照らし合わせ現代仮名遣いへ改めるとともに、常用外漢字にはルビを振り、読みやすくするなど、独自の校訂を行った縦書版電子書籍です。(近日刊行予定)
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私が描いたのは、梅の花と遺書です。作中に梅が何度か出て来て、私にはその梅の姿は作品の雰囲気にぴったりだと感じました。

朝も昼も、夕方も、夜も、梅の花は、溜息の出るほど美しかった。(p37)
春の朝、二三輪の花の咲きほころびた梅の枝に朝日が当たって、その枝にハイデルベルヒの若い学生が、ほっそりと縊れて死んでいたという。(p97)
ママを思うと、泣きたくなる。ママへのおわびのためにも死ぬんだ。(p98)
姉さん。だめだ。さきに行くよ。僕は自分がなぜ生きていなければならないのか、それが全然わからないのです。(p221)
生きていたい人だけは、生きるがよい。人間には生きる権利があると同様に、死ぬる権利もある筈です。(p221)
姉さん。僕には、希望の地盤がないんです。さようなら。(p242)





2014年7月30日水曜日

太宰治『パンドラの匣』がアップルから発売されました。

https://itunes.apple.com/jp/book/pandorano-xia/id903866780?mt=11


ITmedia名作文庫から出たiBooksの『パンドラの匣』を購入。330円。
私は基本的に電子書籍はiBooksなので、ITmedia名作文庫の電子書籍は色々なリーダーで買えるのですがアップルで購入しました。
奥付に自分の名前が載ったり作品がこうやって見えるのはなんだか恥ずかしく、照れます。


ライブラリに『my works』を作って、そこに置いてみました

2014年7月24日木曜日

ITmedia名作文庫 本日オープン!



本日ついにサイトオープンしました!
かれこれ3ヶ月ほど前から関わってきた企画で、本と絵が好きな私には幸せな仕事です。念願の装丁の仕事で本当に嬉しい限りです。
ちなみに私は装丁のディレクションもやっています。
今後の刊行本にたくさんの素敵な画家さんたちが装丁画を描いていきます。そちらもぜひぜひお楽しみに!


水守亀之助の『わが文壇紀行』の装丁も私が手がけました ↓

わが文壇紀行

大正文壇の名物編集記者、「新潮」三羽烏の一人、水守亀之助が綴る文豪30人とその仲間たちの回顧談。作家・評論家・近代文学研究者のネタ本として使われていた『わが文壇紀行』を60年ぶりに復刊。全面的に現代仮名遣いに改めるとともに、著者についてのミニ解説を付けています。取り上げられる作家は、島崎藤村、幸田露伴、徳冨蘆花、広津柳浪、田山花袋、江見水蔭、国木田独歩、岩野泡鳴、有島武郎、徳田秋声、小川未明、田村俊子、真山青果、谷崎潤一郎、近松秋江、岡本かの子、葛西善蔵、佐藤春夫、菊池寛、芥川龍之介、加能作次郎、林芙美子、宮嶋資夫、牧野信一、山本有三、島田清次郎、藤森成吉、生田春月、嘉村礒多、川端康成等、30名強。「後世の文芸史家には若干の参考資料を余興することにもなるとひそかに信じている」(著者)(近日刊行予定)





2014年7月8日火曜日

ITmedia 名作文庫 2014/07/24にオープン!

「ITmedia 名作文庫」は、明治から昭和まで、近代に本文学の佳作・名作を提供する文芸専門メディアです。
Webは横書き、電子書籍(有償)は縦書き。読みやすさを優先するとともに、できるだけ初刊本に近いイメージの電子書籍を提供します。http://classics.itmedia.co.jp

販売ストアについてはこちらをご覧下さい☞ アイティメディアからのお知らせブログ

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私は太宰治の書籍装丁を担当します。1作目は『パンドラの匣』です。








2014年1月27日月曜日

『Study Hacker』ロゴデザイン


「勉強法のキュレーション」をテーマにしたサイト『Study Hacker』のロゴコンペに参加。
勉強法のキュレーションということで、新しい勉強法をひろく発信していくイメージを形にしました。
足がある拡散器のキャラで、遊び心のある感じにしました。

クラウドソーシング ランサーズ http://www.lancers.jp/

2014年1月15日水曜日

ギャラリーカフェバー縁縁 常設絵画『memento mori(メメント・モリ)』




友人のお母さんが亡くなった。友人のお母さんには私も色々とよくしてもらい、仲良くさせてもらっていた。
病気知らずの元気な人だと思っていたから、突然の病に私も本当に驚いた。病院へ行った時には余命何ヶ月というような状態だったそうで、なお驚いた。

この絵はその訃報を聞いて頭に思い浮かんできた絵。
青い女性と黒い背景そして白いカサブランカ。
私はカサブランカのような白いユリに死を連想する。結婚式で使う花という印象より死者に飾る花という印象の方が強い。 ユリは元々イエス・キリストの復活の象徴であったということが私にそう印象づけているのかも知れない。

そんなわけでこの絵のタイトルを『メメント・モリ』にしたのだが、「メメント・モリって何ですか?」と聞かれることが多くてびっくりした。 メメント・モリという言葉は誰でも知ってる言葉(知ってて当然という言葉)だと思っていけどそうでもないらしいことをはじめて知った。

メメント・モリとはラテン語で「自分がいつか死ぬことを忘れるな」という意味の警句。「死を思え」と日本語ではよく訳される。 もともとは「今を楽しめ」という意味合いだったのが、キリスト教の世界で死の意識が前面に出てくることによって「死を思え」という意味合いに変じた。 そして現在は芸術的な表現として広く使われている。


http://enyen.jp/