2015年12月23日水曜日

ITmedia名作文庫 太宰治『虚構の彷徨 ダス・ゲマイネ』連載中






虚構の彷徨 ダス・ゲマイネ

太宰治

『晩年』(砂子屋書房、1936年6月)に続き、1937年6月1日、新潮社から刊行された前衛的な第二著作集です。師匠の佐藤春夫に命名された「虚構の彷徨」は「道化の華」「狂言の神」「虚構の春」で構成される三部作。「虚構の春」では友人・知人からの手紙をコラージュし、「ダス・ゲマイネ」では「太宰治とかいうわかい作家」を登場させるなど、前衛的な創作手法に挑戦しています。ITmedia 名作文庫では新潮社版を底本に、巻頭に解説「俗っぽさに賭ける痛切な青春」(北条一浩)を収録しました。2010年の常用漢字改定に照らし合わせ現代仮名遣いへ改めるとともに、常用外漢字にはルビを振り読みやすくした縦書版電子書籍です。(近日刊行予定)


2015年10月23日金曜日

ITmedia名作文庫 太宰治『右大臣実朝』連載中





右大臣実朝太宰治

鎌倉時代に成立した古典『吾妻鏡』を典拠とした書き下ろし長編小説です。1943年9月25日、錦城出版社から刊行されています。源頼朝の四男で、金槐和歌集など歌人としても高名な三代将軍実朝の悲劇的な人生を、その没後20年に「私」が語る、という体裁をとっています。御坂峠の文学碑の碑文「富士には月見草がよく似合ふ」を作るとき、この小説の自筆原稿から集字されたことでも知られています。ITmedia 名作文庫では錦城出版社版を底本に、巻頭に解説「滅びの予兆に託した中期の意欲作」(北条一浩)を収録しました。口語文を2010年の常用漢字改定に照らし合わせ現代仮名遣いへ改めるとともに、常用外漢字にはルビを振り読みやすくした縦書版電子書籍です。(近日刊行予定)



2015年8月26日水曜日

ギャラリーカフェバー縁縁12周年記念「十二単干支展」




『私の愛おしいあなた。私の命をあなたにあげよう。』







久し振りのコラボ展です。
私は『 巳 』を担当させてもらいました。
八木橋さんは絶対ヘビだと思いました!と周ちゃんに言われました(苦笑)
実際のヘビは苦手ですが、神話や象徴としてのヘビは好きです。

今回の絵は『蛇女房』を土台に今の自分の思いを形にしました。



展示期間 [2015/08/26(Wed)~2015/09/07(Mon)]


縁縁も年を重ねて9月で12周年となります。

12といえば時間の単位、月も12月まで、星座も干支も一周します。
色々なものが一回りして還ってくるような、そんな時期です。
新たな13年目もよいスタートをきれるよう願いを込めて、様々なアーティストによる十二支展を行います。

表現もサイズも様々、あなたのお気に入りの干支はなんでしょうか?
期間中には12周年記念のイベントも開催いたします。
皆様のご参加お待ちしております。


【参加アーティスト】

飯田峰空 [書] 
KIIMAN [悪セサリー]
きゃねこ [動物をつくるひと]
佐藤周作 [動物墨絵師]
杉山彩 [ドローイング]
tomohiro kanekiyo [reflection's photographer]
ながやいつき [イラスト]
なよごん [絵]
松谷和恵 [絵本作家]
本山浩子 [イラスト]
やぎはしさちこ [絵]

【イベント】
9月5日(土)19:00〜
「縁縁12周年記念パーティ」
2,500縁(お食事、記念品付)+ドリンク別(ALL500縁)
詳細はこちら!

9月6日(日)18:30〜
「縁縁12周年記念!ERIKO×坂ノ下典正スペシャルリユースキャンドルナイトライブ☆」
2,000縁+オーダー別
詳細はこちら!

イベントのご予約はお電話にてお受けいたします。


ギャラリーカフェバー縁縁 http://www.enyen.jp/

水~日/12:00~23:00(L.O.22:30)
月/12:00~21:00(L.O.20:30)
定休日 火  TEL 03-3453-4021

「麻布十番駅」大江戸線 7番出口 徒歩4分 南北線 4番出口 徒歩5分
六本木ヒルズ、ツタヤ、STARBUCKS 徒歩5分
東京都港区麻布十番2-8-15 1F

2015年8月8日土曜日

ITmedia名作文庫 太宰治『新ハムレット』の連載が始まっています。



苦しみが苦しみを生み、悲しみが悲しみを生み、溜息が溜息をふやす。自殺。のがれる法は、それだけだ。(p29)


だから、だから、それだから僕は、くるしんでいるのです。くるしい時に、くるしいと言ってはいけないのですか?なぜですか?僕は、いつでも、思っていることをそのまま言っているだけです。素直に言っているのです。本当に、淋しいから、淋しいと言うのです。勇気を得たから、勇気を得たと言うのです。なんの駆け引きも、間隙も無いのです。精一ぱいの言葉です。(p111)


愛は言葉だ。言葉が無くなれや、同時にこの世の中に、愛情も無くなるんだ。愛が言葉以外に、実体として何かあると思っていたら、大間違いだ。(p219)







男性の方の画は、物語の最後の部分の、ハムレットが自分自身を切り裂くところから描きました。

女性の方の画は、下記の部分から描きました。
王妃であり、オフィーリアでもある女性像です。ドレスの裾は小川の水を(水が溜っている感じを)表現しました。

王妃。「紫蘭の花のことを、しもじもの者たちは、なんと呼んでいるか、オフィリヤは、ご存じかな?(中略)まさか、あの露骨な名前で呼んでいるわけでもないでしょう。」
オフ。「いいえ、王妃さま、あたしたちだって、やっぱり同じ事でございます。(中略)
でも、男のひとの居る前では気を附けて、死人の指、なぞという名で呼んでいますの。」
王妃。「死人の指とはまた考えたものですね。死人の指。なるほどねえ。そんな感じがしない事もない。可哀そうな花。金の指輪をはめた死人の指。」(p128-129)

http://classics.itmedia.co.jp/dazaiosamu/shinhamlet/
http://classics.itmedia.co.jp/



新ハムレット太宰治

太宰治の中期を代表する作品の1つで、最初の書き下ろし長編となった『新ハムレット』は、1941年7月2日、文藝春秋社から発行されました。同年2月から5月まで、かなりの意気込みで執筆されたものです。シェイクスピアの名作に挑んだという点では、志賀直哉の「クローヂヤスの日記」と比較されることもあります。ITmedia 名作文庫では前記文藝春秋版を底本に、巻頭に解説『「かすかな室内楽」としての小説』(北条一浩)を収録しました。2010年の常用漢字改定に照らし合わせ人名ともに現代仮名遣いへ改めるとともに、常用外漢字にはルビを振り読みやすくした縦書版電子書籍です。(近日刊行予定)




2015年8月7日金曜日

オリジナルTシャツがファッションショーで使われます。


私の作ったTシャツがファッションショーイベントで使われます。

ショーで流す音楽は、Tシャツのイメージに合う rega をガンガンに流してもらう予定です。
モデルさんたちに楽しんでノリノリで歩いてもらいたいです。



TOKUYAMA FAVORITE ARTIST vol.3


【日時】2015年8月8日 土曜日

【会場】GYOEN ROSSO 198

【時間】OPEN 18:00

【料金】前売¥2,400- / 当日¥2,700-(ドリンク代別 
 ※1ドリンク¥600-,
 ※2ドリンク¥1.000-,
 ※ドリンク飲み放題プラス¥2,600-open~22:00まで自動終了)


今回の来客予想人数約100名。

bar-rosso.com/

地下鉄丸ノ内線新宿御苑前駅2番出口徒歩3分。
★新宿区新宿1-19-8サンモール第7ビルB1F
目印はすき家の横のビル地下1F












2015年6月12日金曜日

ITmedia名作文庫 太宰治『津軽』の連載が始まっています。





題字は筆書き、絵は木版画の作品です。
どちらの作品も気に入っています。


津軽、青森といえば「トゲクリガニ」。
青森ではトゲクリガニとシャコはお花見に食べるそうです。
お花見といえばトゲクリガニとシャコ、トゲクリガニとシャコといえばお花見、だそうです。
作中にもお花見をするシーンが出てきて、本当にトゲクリガニとシャコを食べていたのでそれを絵にしました。


風景画の方は弘前城からの景色(イメージ)です。
作中の下記文章を絵にしたいと思いました。
文章からこの色を選びました。

 あれは春の夕暮れだったと記憶しているが、弘前高等学校の文科生だった私は、ひとりで弘前城を訪れ、お城の広場の一隅に立って、岩木山を眺望したとき、ふと脚下に、夢の町がひっそりと展開しているのに気がつき、ぞっとした事がある。私はそれまで、この弘前城を、弘前のまちのはずれに孤立しているものだとばかり思っていたのだ。けれども、見よ、お城のすぐ下に、私のいままで見た事もない古雅な町が、何百年も昔のままの姿で小さい軒を並べ、息をひそめてひっそりうずくまっていたのだ。ああ、こんなところにも町があった。年少の私は夢を見るような気持ちで思わず溜息をもらしたのである。万葉集などによく出て来る「隠沼(こもりぬ)」というような感じである。私は、なぜだか、その時、弘前を、津軽を、理解したような気がした。(p32)




津軽 太宰治

太宰治の代表作の1つである『津軽』は「新風土記叢書」の1冊として、昭和19(1944)年11月、小山書店から書き下ろしで刊行されました。「こんどの旅に依って、私をもういちど、その津島のオズカスに還元させようという企画も、私に無いわけではなかったのである。都会人としての私に不安を感じて、津軽人としての私をつかもうとする念願である。言いかたを変えれば、津軽人とは、どんなものであったか、それを見極めたくて旅に出たのだ。私の生きかたの手本とすべき純粋の津軽人を捜し当てたくて津軽へ来たのだ。そうして私は、実に容易に、随所に於てそれを発見した。」(「蟹田」より)。巻頭に「ミニ解説」(過去と現在をつなぐ旅:北條一浩)を付け、2010年の常用漢字改定に照らし合わせて読みやすくした縦書版電子書籍です。(近日刊行予定)

2015年5月14日木曜日

ITmedia名作文庫 太宰治『愛と美について』の連載が始まっています。




表題作の『愛と美について』の内容から装丁画を描きました。
5人兄弟の人となりを椅子で表現しました。
左から長男、長女、次男、次女、三男。

年代物の紙本のイメージを出したかったので、特殊な和紙を背景に使いました。

この作品も他の作品同様木版画です。


とても短いお話です。面白くあっという間に読めます。
ぜひこの機会に読んでみて下さい。

2015年4月10日金曜日

ギャラリーカフェバー縁縁の常設絵画を取り替えました。


ITmedia名作文庫の装丁画として描いた、太宰治『斜陽』から『東京八景』に取り替えました。
版画で製作したものをプリントしたものです。
額代込・税別で¥8,000-です。

ギャラリーカフェバー縁縁 http://enyen.jp/
ITmedia名作文庫 http://classics.itmedia.co.jp/





2015年3月19日木曜日

ITmedia名作文庫・太宰治『東京八景』連載開始


東京八景太宰治

1941年5月、実業之日本社から発行された『東京八景』は、太宰に注文が舞い込むようになった1940年以降の短編小説を軸に「HUMANLOST」(単行本初収録)と「ロマネスク」(再録)を収めたものです。太宰はこの機会にHUMANLOSTを大幅削除し書きなおしていますが、ITmedia 名作文庫では雑誌「新潮」(1937年4月号)初出のものを収録しました。それ以外は上記初刊本を底本に、巻頭に解説「蟲に食われた桑の葉のような東京市」(北條一浩)を付けています。2010年の常用漢字改定に照らし合わせ現代仮名遣いへ改めるとともに、常用外漢字にはルビを振り読みやすくした縦書版電子書籍です。(近日刊行予定)

http://classics.itmedia.co.jp/dazaiosamu/tokyohakkei/

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東京八景の装丁画も自分ではとってもいいものが出来たと思います。

塀の上の猫がいい感じに描けました。


提出する2点のどちらとも気に入っていて、どちらを表紙にするかはITmdediaさんにお委せしました。

かなり気に入っているので2点ともプリントして縁縁に飾ってもらおうと思っています。


2015年3月16日月曜日

ITmedia名作文庫・太宰治『正義と微笑』販売中です!



正義と微笑太宰治

旧制一高の受験に失敗した芦川進は日記をつけながら今後の進路をよく考えた上、以前からあこがれていた俳優の道を目指そうと決意します。夢見がちだった少年がリアリストへと成長してゆく過程を描いた本作は、1942年に書き下ろされました。太宰治の弟子の一人、堤重久の弟で俳優の堤康久がつけていた日記を材料にしていますが、元の日記にあった「マルクス」はすべて「キリスト」に書き換えられています。本書は『正義と微笑』(錦城出版社、1942年6月10日発行)を底本に、巻頭に「ミニ解説」を付けています。2010年の常用漢字改定に照らし合わせ現代仮名遣いへ改めるとともに、常用外漢字にはルビを振り、読みやすくするなど、独自の校訂を行った縦書版電子書籍です。
  • 発売日
  • 価格100円




===【装丁画及び小説について】==========

2点とも版画です。

左は聖書を象ったデザイン、右は作中の景色を切り取りました。

個人的にはどちらも気に入っています。

そして、小説『正義と微笑』も、とても気に入っています。
とっても面白くスイスイ読める作品なので、あまり本を読まない人でも読みやすいと思います。
おススメです。

2015年1月29日木曜日

太宰治『お伽草紙』電子書籍近日発売です




私が担当しているITmedia名作文庫の太宰治
次の本は『お伽草紙』
すごく面白いのでとってもおススメの本です。
特に私は『カチカチ山』がおもしろかったです。
元々のカチカチ山を太宰の見方で新しく仕上げられていています。
白ウサギを美少女に、狸を醜男に喩えるあたりがさすが太宰です。

装丁画の方も、自分としてはとっても気に入る出来になりました。
両方とも木版画です(題字と作家名も彫っています)

http://classics.itmedia.co.jp/



お伽草紙太宰治

第二次世界大戦の空襲のさなか、防空壕の中で子どもに読んで聞かせる昔話の絵本をもとに、世相と人間を風刺した短篇集です。三鷹と疎開先の甲府で書き上げられ、終戦直後の1945年10月に筑摩書房から書下ろし小説として刊行(初版7500部)されました。「前書き」に続き、周囲に理解されない無用者の老人の孤独を描く「瘤取り」、幻想的な海底描写が秀逸な「浦島さん」、ナルシストの処女と彼女に惹かれる醜い中年男の悲劇を描く「カチカチ山」、嫉妬深い悪妻に悩まされながら少女にほのかな恋心を覚える中年男の夢を描く「舌切雀」を収録。『お伽草紙』(筑摩書房、1945年10月25日発行)を底本に、巻頭に「ミニ解説」(北條一浩)を付けています。2010年の常用漢字改定に照らし合わせ、人名を含め現代仮名遣いへ改めるとともに、常用外漢字にはルビを振り読みやすくした縦書版電子書籍です。(近日刊行予定)

2015年1月9日金曜日

ITmedia名作文庫の太宰治『女生徒』発売中です



女生徒太宰治

1940年の北村透谷賞次席(受賞は萩原朔太郎『帰郷者』)に選ばれたこの作品集から太宰の中期が始まります。女性の独白体を使った表題作の「女生徒」は川端康成に絶賛されました。他に「満願」、「姥捨」、「I can speak」、「富嶽百景」、「懶惰の歌留多」、「黄金風景」の7編を初刊本の順に収録。太宰の優しさがにじみ出ている本として愛されています。『女生徒』(砂子屋書房、1939年7月20日発行、日本近代文学館、1992年6月19日復刊)を底本に、巻頭に「ミニ解説」(北條一浩)を付けています。2010年の常用漢字改定に照らし合わせ現代仮名遣いへ改めるとともに、常用外漢字にはルビを振り読みやすくした縦書版電子書籍です。
  • 発売日
  • 価格100円




右は以前に描いたアクリル画で、左は書き下ろしです。

アクリルの方は、本を読んで浮んだイメージがこの作品そのものだったので、すべて版画でやろうという方針からは外れるのですが使わせてもらいました。

書き下ろしの方の女の子の線は版画です。空は写真で、題字は毛筆。